目次
〜当日
本当だったら7月12日に試走へ行く予定だったのだけれども、前日に体調を崩してしまい、咳が止まらないので翌週に試走を延期。
体調を少しでも戻そうと4日くらいフルレストを入れて、そこから少しずつ練習を再開して限界値の補正を行う。
とりあえず200wを超えると咳が出てくることが分かったので、ここを目安に走行しようと思う。
〜Start
5時スタートなので、4時に起きてゆっくりと朝食を済ませて、自転車を準備してからスタート地点へ移動しても間に合ってしまう。
やはり地元開催は最高だ。
こうなると、遠方のスタート地点からスタートすることはもう無いような気がする。
県外から来る人は、スタート地点に来てくれるだけでも凄いことだと感じる。
朝起きて体調を確認すると、咳と喉の調子はいまいちよろしくない。
本調子ではないが、走れないほどでもないので出走準備。
前日に買っておいたおにぎり3つを食べる。
これだけ食べれば檜原湖までは補給なしで行ける。
涼しいうちに標高が高い地域に行く計画。
こういう小さな積み重ねの計画が、ロングだと後々効いてくる。
絶好調であれば、9時に白府峠、14時に蔵王ハイライン入口、18時に福島戻り、23時ゴールの予定だった。
こればかりは嘆いても仕方ないので、下方修正しながら走るしかない。

Start〜PC1
計画通り、3分前に図書館に到着。
GPSの準備をして、いつもの写真を撮り、LineWorksで試走出発を報告。
出発して1kmほどで国道294号線に出られる好条件のスタート地点。
しかし、夏の国道294号線では、過去に中禅寺湖を追い出された地獄の亡者たちが徒党を組み、猪苗代湖を目指して湖上遊具を引っ張りながら暴走を始めるのだ。
煽り運転、幅寄せはあたりまえの無法地帯が毎年訪れる。
…はずなのに、なぜか今年はマナーがよろしい…?
いつもなら肘が当たるくらい幅寄せされるけれど、今年は大きく避けて追い抜いてくれる。
プリウスも、ヴェルファイアも、野田も、誰も幅寄せしてこない。
珍事中の珍事。
勢至堂トンネルでもこの現象は続き、身構えていただけに肩透かしを食らったなんてもんじゃなかった。
毎年こうだといいな…。
無事に猪苗代湖を通過し、北塩原を目指す。
去年はここで猿に威嚇されたりして面倒だったが、今年はスムーズに進める。
予定通り、北塩原のセブンイレブンで追加のおにぎりを補給。
自宅で入れてきた水を飲み干して麦茶に替える。
ついでに種抜きの梅干しも購入し、ここからは定期的に食べて低ナトリウム血症を防ぐ。
補給をして5分ほど小休憩したら、西吾妻スカイバレーを登る。
過去に何度か登ったこともあるので、ペース配分は問題なし。
まだ気温は上がりきっていないので、比較的登りやすい条件。
激坂もないし、リミットの200wを意識しながら淡々と進み、無理のないペースで登頂。
最後、なぜか写真撮影して止まっていた電アシロードバイクが追いかけてきて、後ろに貼り付いてくる。
なんかムカつく顔のおっさんだったので千切った。
斜度が緩くなったら電アシなんてただの重量物だろうに。
順調に白府峠に辿り着いたのでスマホを出して写真撮影タイム。
フォトチェックをしようとするとアブが寄ってくる。
少しでも止まると奴らはすぐ寄ってくる。
写真を撮ったら、逃げるようにその場から離れ、駐車場でフォトチェックを報告。

PC1〜PC2
白府峠を通過して、長い下り区間へ。
ちょうど良いスピードで走っているバイクが前に2台いたので、ペースメーカーにしてついていくことにする。
カーボンリムブレーキ車両なので、長い下りは結構気を遣う。
それでも温泉街以外は急こう配も少なく、走りやすい道ではある。
下り切ったところにある自販機で麦茶を補充して、米沢市街地を目指す。
実は街中は気を遣うのであまり好きじゃない。
…と思っていたら、車の運転が優しい。
無理に追い越してくることもなく、追い越すときは必ず1m以上の距離をあけて安全に抜いてくれる。
程よい交通量に、マナー最高のドライバー、荒れていない路肩、とても走りやすい。
「ここは自転車の天国ですか?」
寒河江600kmでは夜間しか走ったことがなかったので知らなかったけれど、山形県の人はとにかく優しい。
今のところ、走りやすさNo.1の地域は山形県。
山形に行く300kmコースとか作りたいけど、難点は福島県との間の山なんだよな…。
そんなことを思いながら米沢市を離れ、南陽市を目指す。
のどかな田園地帯を走るが、ここも走りやすい。
路肩は広くて荒れておらず、相変わらず山形ドライバーは優しい。
こんなに安心してブルベを走ったのは初めてかもしれない。
盆地を抜けていくので若干登り基調だけれど、気分が良いのでとても楽しい。
150km付近にフォトチェックがあれば、往復300kmのルートにしてもいいな、なんて考えながら進む。
途中、自販機を見つけてポカリを飲み、少し進むとPC2の境小滝トンネルに到着。
手前の退避場所から写真を撮る。

PC2〜PC3
いきなり長いトンネル。
でも、ここは山形県。
そう、ドライバーが優しすぎるので怖くない。
ルート設計時は、トンネル上部の山道に迂回したほうがいいかと考えていたが、杞憂だった。
1km以上のトンネルを走っていて、恐怖を感じなかったのは生まれて初めて。
トンネルを抜けると工事区間があり、下りではあるけれどペースを抑えて安全第一。
警備員さんが車を先に通してから、自転車を安全に誘導してくれるのもありがたい。
街中に近づくと、コストコがあり注意して進もうと思っていたが、コストコに入るアルファードすら、こちらが通り過ぎるまで待っていてくれる。
右折した先の県道51号線も2車線で広く、路肩も十分にあるのにもかかわらず、車はすぐには抜かずに追い越し車線が空いてから超安全に抜いてくれる。
なんて優しい世界だ。
関東の一部地域、特に千葉県の一部地域に、山形県の爪の垢を詰め合わせて販売してほしい。
いよいよ案内看板に蔵王高原坊平の文字が現れる。
セブンイレブンにも「蔵王エコーライン、コンビニ、最終基地」と優しく書いてあるので、確実に補給する。
少し長めに買い物をして冷房で身体を冷やし、プリンやゼリーで手早くエネルギーを補給。
冷凍ペットボトルを背中に入れ、サドルバッグから熊スプレーを取り出してポケットに入れたら、いざ蔵王エコーラインへ。
データでしか見ていなかったので余裕かと思っていたが、登り始めから結構きつい。
平坦ばかり練習していたせいで登りが弱くなっていた。
斜度が落ち着いたところで、溶け始めた冷凍ペットボトルの中身を飲んで休みながら進む。
まだ標高も1,000m未満で、時刻も13時で気温が最高値付近になっているので無理はしない。
ボトルが心配になったところで、蔵王猿倉スキー場に到着。
ありがたいことに自販機もベンチもある。
さらに奥には噴水付きの釣り堀もあって、良いリフレッシュができた。
ここでボトルを満タンにしておけば、登りきれるはず。
リフレッシュして1kmほど進むと、路肩に黒くて体長1mほどの、つぶらな瞳のやつがいた。
「熊だ…」
距離にして15mくらいか。
ひとまず自転車を降りて自転車を盾に構え、ポケットから熊スプレーを取り出して安全ピンを外す。
永遠にも感じるにらめっこが始まる。
ずっと見ていると、自宅のショコラ(黒ウサギ)に見えてくる。
後続車が来たのでハンドサインで止まってもらい、少し経つと熊は大人しく山に帰っていった。
落ち着いて行動するのが一番だ。
熊スプレーは射程距離が短いから使い物にならないって言ってるやつ。
武器無しで熊とにらめっこしてからも同じことが言えるか?
熊は去っているが念のために少し早めのペースで蔵王坊平を目指して進む。
観光地で定期的に車が走ってきてくれるのは良い感じに心強かった。

PC3〜PC4
蔵王坊平は思ってた場所と違って駐車場があるだけの場所だった。
PC3で設定している看板で写真を撮影しようとしたら、地元のサイクリストと出会った。
最近になって自転車を始めたらしく、今回が3度目の挑戦で、お釜を目指してヒルクライムしている最中だったようだ。
なかなか地元の人と交流する機会はないので、しばし談笑タイム。
熊の話をしたり、ブルベの話をしたりして、楽しい時間を過ごした。
特に山形県民の運転マナーの良さに驚いたことを伝えると、「みんなビビりなんで、そっと追い抜いていくんですよ…」と笑っていた。
こんなところが山形県民の優しさなんだろうなと実感。
もっと話していたかったけれど、日暮れの時間が迫っているので、名残惜しくも出発。

途中の石碑には「頂上まであと〇km」みたいな標示があったりして、やっぱり山形は自転車に優しい場所だと感じる。
激坂は無いけど斜度が低いわけでもなく、連取不足の自分には良い刺激になる登りに気持ち良くなってくる。
しかも今回は、昨日届いたばかりのWaveoneのジレを今日は持ってきているのだ。
夏場はなかなか着る機会がないけれど、この山の下りなら性能を発揮できる。
何よりWaveoneのN島さんがデザインしたYOKO-OKAのウェア類はカッコ良く、着たくて仕方なかったのでテンションは高い。
テンションと共に標高が上がると気温も下がり、ボトルの減りも落ち着いてきて、余裕を持って登頂完了。
予定より大幅に遅れたけど、地元の人と交流したり熊と出会ったり楽しかったので良しとする。
待ちに待ったジレに袖を通し、テンションは最高潮。
下りは白府峠よりもスピードが出るので、上がり切ったテンションを抑えつつ、展望台で小休憩をはさみながらゆっくり下る。
2つの滝が見下ろせる展望台もあり、絶景を満喫。
そこそこのスピードで下ろうと思っていたのだけれど、景色が綺麗だったりするので意外と時間をかけてしまった。
麓の温泉街に着くとセブンイレブンがあったので小休憩。
起伏も少ない道なので走りやすいはずなのだが、さっきまで山形の優しさに浸っていたせいで、宮城に入ると道路の感覚が少し窮屈に感じる。
とはいえ、東関東600kmで走る地域を思えば、かなり安全に感じる。
ジャベリンを必要としないのは良い。
大河原町を抜け、丸森町へ。
少しアップダウンが増えてくるので、脚を残すために無理をしない。

PC4〜PC5
ようやく福島県に戻れる区間。
丸森駅を出てすぐ、川沿いの国道349号線へ。
地図で見ると何でもなさそうに見えたけれど、実際は細い道をアップダウンしながら進む、けっこう攻めたルート。
トンネルも多く、久しぶりにナトリウム灯のオレンジの光に照らされる。
途中「やしまや道の駅」という看板を見つけたが、あまりにも小さくて二度見してしまった。
そのまま進み、なんとか日暮れ前に福島県入り。
福島に帰ってくると、やっぱり安心する。
そこからは国道349号線も平坦になり、すぐに伊達へ。
日も落ち始めたのでライトを点灯。
整備した際に取り付け角度を間違えていたらしく、若干ライトの照射距離が足りて無いので徐行で進む。
だらだらと登りながら、PC手前のセブンで晩御飯を買い込んで道の駅へ。
次の道の駅は営業時間外でも室内の休憩スペースが解放されていて、快適。
エアコンが効いていて虫もいない。
ゆっくり食事して、コーヒーを飲んで、ライトの角度を直したら再出発。

PC5〜PC6
ここから先は、ほとんどの人が夜間走行になる区間。
でも、福島県内の国道349号線は復興の一環でしっかり整備されていて、夜でも走りやすい。
とはいえ、毎日21時には寝ている自分にとって、この時間帯は眠くなる。
案の定、20時を過ぎると眠気がきた。
時間には余裕があるから、どこかホテルでもあったら泊まりたいくらいだったのだけど、タイミング良く出てきた東和の道の駅で仮眠を取ることにした。
駐車場にはヤンキーっぽい若者がたむろしていたが、数時間前に熊と対峙した自分からすると赤子も同然。
「絡んできたら熊スプレー吹きかけよう」くらいにしか思わない。
1時間ほど仮眠して再出発。
急いでも仕方ないので、星空を見上げながらゆっくり走る。
晴れていたおかげで星が綺麗に見えた。
船引、田村、小野と進むにつれて、白河市が近づいてくる実感が湧いて眠気も飛んでいく。
シモジマンさんたちがゴールスプリントしたであろう坂を登りながら、暗闇のこまちダムでフォトチェック。

PC6〜Finish
ここからは少し珍しいルートで、母畑湖まではよく使われる道だけれど、そこから先は石川母畑ICを左に曲がり、野木沢を通過するルート。
実は自分も初めて走る道で、下り基調のアップダウンを繰り返しながら、予定通りの道に出られるか少し不安になる。
野木沢駅を過ぎると、AJ神奈川主催の白河200kmでも使われる県道に合流したので安心。
結構良い道だったので普段のサイクリングで使うのもありかもしれない。
見慣れた道に出て中島まで来てしまえば、もうほとんど地元みたいなもの。
安心感が跳ね上がる。
ここからはコンビニも増えるが、あと10kmも走ればゴールなので、ポケットの補給食を食べながら進む。
まあ楽な道という訳でも無く、嫌がらせでしかない家畜フレグランスや、微妙に嫌なアップダウン、雪国+日陰+多い交通量で生じる道路の荒れがある区間。
地元なら知ってて走るから問題無いので無事にゴールのファミリーマートに到着。
本当は帰ってから飲むビールも買いたかったけれど、さすがにゴールレシートにアルコールは倫理的にアウトだろうと、コーヒーを買ってレシートを貰う。
LineWorksに完走報告を書き込んだら試走は無事に完了。
キューシートにも変更点は無く、あとは開催当日を待つだけ。

Finish〜
ファミリーマートから家まで、わずか5km。
宇都宮開催だとゴールしてから80kmもあるから、これがいかに最高かを噛みしめる。
もうゴールしているし、無理する必要もないので、ゆっくりサイクリングしながら帰宅。
玄関を開けたら、奥さんが起きて待っていてくれて、思わず今日一番びっくりした。
自転車を片付けて、シャワーを浴び、ビールを飲みながらStravaを更新して、今日の試走は完了。
山形県は本当に走りやすくて、お気に入りになった。
また良いルートを探して、もう一度山形に行くルートを作りたい。
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