【ToonsCrew】SRは60歳でも取れる。でも、あの一瞬は今しかない。

ToonsCrewが語る、2026年にSRを見送った理由。
2026年、今年もブルベで200kmと300kmを完走。
しかし、400kmと600kmには参加せず、SR(シューペル・ランドヌール)の取得を見送ることにしました。
理由はレースとの期間の重複。
でも、それだけではありません。
長年自転車に乗り、ブルベもレースも経験してきた中で、少しずつ変わってきた価値観。
今回は、そんな自転車との付き合い方の変化について、ToonsCrewの4人が語ります。

第1章 今年、SRを取らなかった理由

さて、2026年のブルベシーズンも終わりましたね。今年は200km、300kmと走りましたが、400kmと600kmは参加しませんでした

えっ!? じゃあ今年のSRはどうなったの?

今年は取らないことにしたんだよ!

えー! せっかく200kmと300kmを走ったのに、もったいない!

まあ、SRを狙うなら同じ年に200km、300km、400km、600kmを完走する必要があるからな

SRはシューペル・ランドヌールの略で、ブルベにおける一つの大きな目標です。今回はなぜ見送ったんでしょう?

一番の理由は、レースの日程と重なっちゃったことかな

今年はエンデューロやクリテリウムにも出ていたからな

そう! 400kmと600kmを走ることも考えたんだけど、レースを優先することにしたんだ

でも、SRを取れるチャンスだったのに?

うん。でもね、最近ちょっと考え方が変わってきたんだよね

ほう。それは気になりますね

SRは、60歳になってからでも取れると思うんだよ

第2章 SRは60歳でも取れる

60歳で600km!? そんなに走れるの!?

ブルベの世界には、60代や70代でも長距離を走っている人がいるからな。
もちろん簡単なことじゃないけど、年齢を重ねても挑戦できるのが魅力の一つだよ

そうなんだよね。もちろん、60歳になっても600kmを走れる保証はないけど、挑戦する機会はまだあると思うんだ

では、レースはどうでしょう?

レースはね、ちょっと違うと思うんだよ

レース前日まで、コースを調べたり、展開を予想したり、補給や機材を考えたり、どうすれば少しでも有利に走れるか、ずっと計算してるんだよね

機材の準備だって、少しでも速く走るために細かいところまで気を使うからな

そしてスタートしたら、今度は集団の中で駆け引きが始まるの
誰が飛び出すのか。いつ飛び出すのか。今追いかけるべきなのか、それとも待つべきなのか
周りの選手の動きを見ながら、ずっと考えてるんだよ

なんだか将棋みたいだね!

ただし、考えながら全力でペダルも踏まなきゃいけないけどな

そうそう! それでゴールが近づくと、みんなが少しでも有利な位置を取ろうとするんだ
誰が先に動くのか。どのラインを取るのか。いつスプリントを始めるのか
ほんの一瞬の判断で、結果が変わっちゃう

その緊張感が魅力なんですね

うん! あのヒリヒリする感覚!
脚は限界に近いのに、頭はずっと周りの動きを追っている
そして最後の数秒に、残った力を全部ぶつけるんだよ

監督としては、もう少し安全に帰ってきてほしいんだけど……

もちろん安全は大事だよ。でも、あの緊張感はレースでしか味わえないんだよね

年齢を重ねてもレースには出られる。でも、今と同じ強度で、同じように勝負できるとは限らないからな

そうなの。だから、今しかできないことを優先したいんだ
SRは60歳になってからでも目指せるかもしれない
でも、今の自分の脚で、今の仲間と、今のレベルで競い合えるのは、今だけなんだよね

第3章 出し切らないブルベ、出し切るレース

ところで、ブルベとレースでは、そもそも走り方が大きく違いますよね?

うん。ブルベは基本的に、出し切らない走り方なんだよね

出し切らない? 手を抜くってこと?

違う違う。長い距離を確実に走り切るために、体力を管理するってことだよ
600kmなら、最初の200kmで脚を使い切ったら大変だろ?

そうそう。無理にペースを上げず、最後まで走れるように余力を残しておくの

ブルベでは、ペース配分や補給、休憩、睡眠なども含めて、長時間走り続ける能力が求められますからね

でも、レースは違うんだよ
ゴールした瞬間に、もう何も残ってなくてもいいの
それまで温存してきた脚を、最後の数秒で全部使い切るんだよ!

えー! そんなに頑張ったら帰り道が大変だよ!

レース会場までは車で行くから大丈夫だろ

もちろん、レースだって最初から全力で走るわけじゃないよ。脚を残すための駆け引きも大切なの
でも、それは最後に出し切るためなんだよね

なるほど。同じように余力を残す場面があっても、その目的が違うんですね

ブルベは最後まで走り続けるため。レースは最後に勝負するため。どちらもペース配分が重要だけど、目指しているものが違うんだ

そう! それで最近は、最後に全部出し切る走り方の方が楽しくなってきちゃったんだよね

監督は、出し切るより食べ切る方が得意だけどね!

それは知ってるよ……

第4章 400km以上を走る意味が変わった

そうなると、長距離ブルベへの考え方も変わってきたんでしょうか?

うん。最近は400km以上を走るメリットを、あまり感じなくなってきたんだよね

えー! 昔は600kmも走ってたのに?

もちろん、長い距離を走るのは楽しいよ!
知らない土地を走ったり、夜明けの景色を見たり、普段なら行かないような場所まで自転車で行けたり
そういうブルベならではの魅力は、今でも分かるんだ

長い距離を自分の力で走り切った達成感もあるしな

うん。でも、それを楽しむために、必ず400kmや600kmを走らなきゃいけないわけじゃないでしょ?

200kmや300kmでも、十分に遠くまで行けますからね

そうなの。それに400kmや600kmを走れば、それなりに疲労も残るし、回復にも時間が必要になる
その時間をレースの準備や練習に使った方が、今の自分には価値がある気がするんだよね

以前は長距離を完走すること自体が目標だったとしても、経験を重ねれば目標が変わることもあるさ

そうだね。600kmを完走できたら嬉しいと思うけど、今はレースで最後の数秒を競う方がワクワクするんだ

じゃあ、長い距離を走るのが嫌いになっちゃったの?

全然! 長い距離を走ること自体は好きだよ!
ただ、SRという称号のために400kmや600kmを走ろうとは、今は思わなくなったんだよね

第5章 気がつけば、一人で走っていた

実は、ブルベの楽しみ方が変わった理由は、距離やレースだけではないんですよね?

うん。最近、ブルベだと一人で走ることが多くなっちゃったんだよね

えっ? ブルベって、みんなで走るイベントじゃないの?

同じコースを走るけど、基本的にはそれぞれ自分のペースで走るものだからな

そうなの。最初は誰かと一緒に走っていても、ペースが合わなくて、いつの間にか一人になっちゃうんだよ

それに、スタッフとして運営に関わるようになってからは、試走も増えたんですよね

そうそう! 試走だと、そもそも他の参加者がいないでしょ?
だから、何時間も一人で走って、コースを確認して、帰ってくる
もちろん運営には必要なことだし、それ自体に意味はあるんだけど……
走っていて楽しいかって聞かれると、最近はちょっと違うんだよね

でも、試走って参加する人たちの役に立つんでしょ?

うん。そのつもりで走ってるよ。道路の状況を確認したり、注意が必要な場所を調べたりして、レポートも書いてるんだ
でもね、たまに『走るのが速すぎて参考にならない』なんて言われることもあって……

えー! せっかく走ってレポートまで書いたのに!?

まあ、走行時間や休憩の取り方は、走力によって大きく変わるからな。参考にしにくい部分があるのも分かるよ

それは分かるんだよ。自分のペースが誰にでも当てはまるとは思ってないし
でも、試走って速さを競うために走ってるわけじゃないでしょ?
コースの状況や危険箇所、補給できる場所なんかを確認して、それを伝えることにも意味があると思うんだ

走行時間は一つの情報にすぎませんからね。試走レポートの価値は、それだけでは測れないと思います

そうなの。別に褒めてほしいわけじゃないんだけど、そういうことが続くと、なんだか嫌になっちゃうんだよね

運営として必要な仕事をしているのに、自分の走り方まで否定されたように感じることもあるだろうな

うん。それで、誰かと一緒に走ろうと思っても、今度はペースが合わないし……

じゃあ、誰かに合わせてゆっくり走ればいいんじゃない?

それがね、ゆっくり走るのも意外と大変なんだよ!

えっ!? 速く走る方が大変じゃないの?

脚は楽になるんだけど、普段より出力を落として走ると、ペダルに体重を乗せなくなるでしょ?
300kmくらいまでなら良いんだけど、400km以上になると体重がサドルに偏っちゃって、お尻が痛くなるんだよね

ペダルをしっかり踏んでいるときは、その分サドルへの荷重が減るからな。低出力で走ると、かえってお尻がつらくなることはあるよ

つまり、速く走る方が脚には負担がかかるけれど、ゆっくり走る方がサドルへの負担が増えることもあるんですね

速く走らないとお尻が痛いなんて、困った選手だね……

あはは! でも本当なんだよ!

それで結局、一人で走ることが多くなるわけか

そうなんだよね。一人で走るのも嫌いじゃないけど、400kmも600kmも、ずっと一人で走りたいかっていうと……

今は、そこまでの魅力を感じなくなってきたんですね

うん。走れることと、走りたいことは別なんだよね
それに、スタッフとして走ることと、自分が楽しむために走ることも、少しずつ別のものになってきた気がするんだ

運営に関わることには意味がある。でも、それだけで自分の自転車の楽しみを全部満たす必要はないからな

そうだね。だからこそ、今は自分が本当に楽しいと思える走り方を大切にしたいんだ

第6章 レースで増えた仲間たち

一方で、レースでは友達が増えてきたそうですね?

そうなの! 最近、レースに行くのがますます楽しくなっちゃって!

レースって、みんな必死に走ってるんじゃないの?

もちろん勝負するときは必死だよ。でも、エンデューロって、集団が落ち着いている時間は結構しゃべってるんだよ!

えー! レース中におしゃべりしてるの!?

エンデューロは長時間のレースだからな。常にアタックが掛かっているわけじゃないし、集団のペースが安定する時間もあるんだ

そうそう! 周りの選手と話したり、ちょっとした冗談を言ったり
でも、誰かが動き出した瞬間に空気が変わるんだよね
さっきまで普通にしゃべっていた相手が、突然アタックすることだってあるんだから!

えー! さっきまで仲良くしてたのに裏切り者だー!

いや、それがレースだろ

それが面白いんだよ!
集団が落ち着いているときは会話を楽しんで、展開が動いたら一瞬で勝負の世界に戻る
仲間でもあり、ライバルでもあるんだよね

走っている最中から、選手同士の交流があるんですね

うん! それでゴールしたら、今度はさっきのレースの話で盛り上がるんだよ
あの場面はどうだったとか、誰が仕掛けたとか、最後は脚が残ってなかったとか!

同じ集団で同じ展開を経験しているから、話も弾むんだろうな

そうなんだよね。最近は知り合いも増えてきて、レース会場に行けば誰かしら話せる人がいるんだ

友達に会いにレースへ行く感じ?

それもあるかも! もちろん勝負したい気持ちが一番だけど、みんなに会えるのも楽しみになってるんだよね

ブルベでもSNSで交流する機会はありますよね?

うん。でも、ちょっと不思議に感じることもあってね
SNSではすごく元気だったり、いろんな話で盛り上がっていたりするのに、実際に会ってみると、意外と反応が薄かったりすることがあるんだよ
なんとなく、SNSで感じていた距離感と、実際に会ったときの空気感が違うなって

まあ、SNSでは積極的でも、対面だと控えめになる人もいるからな。どちらが良い悪いという話じゃないさ

うん、もちろん! ブルベにも仲の良い人はいるし、楽しい思い出もたくさんあるよ

自転車を通じた人とのつながり方にも、相性があるということですね

そうなの。ブルベでは一人で走る時間が増えて、レースでは仲間と走る時間が増えた
しかもレースなら、自分と近い走力の人たちと一緒に走れるし、わざわざペースを落とす必要もないでしょ?

競い合うために集まっているからこそ、同じ集団で走れるわけだな

そう! だから今は、一人で600kmを走るより、仲間と競い合う2時間の方がずっと楽しいんだよね

じゃあ、監督もレースに参加する!

むぎは2時間も走れるのか?

2時間なら寝られるよ!

それはエンデューロじゃなくて、お昼寝耐久だよー!

第7章 これからのブルベとの付き合い方

では、来年以降のブルベはどうする予定なんでしょう?

基本的には、もう400km以上は走らないつもり!

えっ! そんなにはっきり決めちゃうの!?

うん。でも、例外が一つだけあるんだよね

次の100周年600kmだな

そう! 100周年って特別でしょ? そういう記念のブルベには、また挑戦してみたいなって

つまり、今後は毎年SRを目指すのではなく、特別な意味のある600kmだけを走る予定なんですね

そういうこと! それ以外の400kmや600kmは、今のところ走る予定はないかな

じゃあ、200kmとか300kmは?

それは普通に走るよ!
200kmや300kmなら、ベーストレーニングにもなるし、知らない道を走ったり、おいしいものを食べたりできるでしょ?

有酸素能力や持久力の土台作りにもなるしな。レースとの兼ね合いで疲労管理は必要だけど、練習としても十分に意味があるよ

そうそう! せっかく長い時間走るなら、ただ練習するよりブルベで遊んだ方が楽しいじゃない!

つまり、200kmは練習という名のサイクリング?

サイクリングという名の練習かも!

どちらが本当なんでしょうね

まあ、どっちでもいいんじゃないか? 楽しみながらベースを作れるなら一石二鳥だろ

そうなんだよね。レースでは全力を出し切って、ブルベでは余裕を持って楽しむ
そういう使い分けが、今の自分には一番合ってる気がするんだ

じゃあ、200kmの途中でおいしいものを食べてもいい?

もちろん!

300kmなら2回食べてもいい?

距離に比例して食事を増やすなよ……

最終章 しがらみのない世界へ

こうして振り返ってみると、今年SRを見送ったのは、単にレースと日程が重なったからだけではなかったんですね

長距離を走ることへの価値観も変わったし、一緒に走る仲間も変わってきた

うん。昔はSRを取ることにも大きな意味を感じていたけど、今はそこまでこだわらなくなったんだよね

でも、200kmと300kmを走ったら、400kmと600kmも走らないともったいなくない?

そう考えることもできるよね
でも、もったいないからって走るのは、なんだか違う気がするんだ

目標って、本来は自分が楽しむためにあるものだからな。それに縛られてしまったら本末転倒だよ

SRを目指すことも、レースで勝つことも、どちらも素晴らしい目標です。でも、必ずどちらかを目指さなければならないわけではありませんからね

そうそう! 自転車って、もっと自由でいいと思うんだよ
速く走りたいときは速く走る。遠くに行きたいときは遠くまで走る
仲間と競い合いたいときはレースに出るし、のんびり景色を楽しみたいときはサイクリングに出かける
そのときの自分が一番楽しいと思うことをやればいいんじゃないかな

じゃあ、60歳になったらSRを取りに行く?

そうかもしれないし、全然違うことをやってるかもしれない!

えー! 計画性がないよー!

いいんじゃないか? そのとき何が楽しいかなんて、今から決めなくてもさ

そうですね。今の目標が、10年後も同じである必要はありませんから

うん! だから、今はレースを楽しみたいんだ
いつまで今のように走れるか分からないけど、だからこそ、今できることを思い切り楽しみたい
そして、いつかレースよりも遠くへ走ることが楽しくなったら、そのときはまた長い距離に挑戦すればいいんだよ

じゃあ、監督から最後に一言!

どうぞ!

楽しいことは、楽しいときにやる!

おっ、珍しくいいこと言うじゃないか

そして、おいしいものは、おいしいうちに食べる!

あはは! やっぱり最後は食べ物なんだね!

あとがき 選ばなかった道も、またいつか

2026年、SRを見送ったことに後悔はありません。
ブルベにはブルベの魅力があります。
長い距離を走り、知らない景色に出会い、夜を越えて朝を迎える。
自分の力で遠くまでたどり着く達成感は、何物にも代えがたいものです。

ただ、今の自分が求めているのは、少し違うものになりました。
レース前日までの準備と計算。
集団の中で交わされる何気ない会話。
そして、誰かが仕掛けた瞬間に一変する空気。
ゴール前での位置取り争いと、残された力をすべて使い切る最後の数秒。
そんな緊張感を、今はもう少し味わっていたい。
そして何より、レースを通じて知り合った仲間たちと、同じ時間を共有することが楽しくなりました。

ブルベではペースが合わず、気がつけば一人で走っていることが増えました。
スタッフとして試走をする機会も増え、誰とも話さずに何時間も走ることも珍しくありません。
一人で走ることが嫌いなわけではありません。
でも、今は仲間と競い合う時間の方が、ずっと魅力的に感じられるのです。

今後、400km以上のブルベを走る予定は、次の100周年600kmを除いてありません。
200kmや300kmは、ベーストレーニングを兼ねて、気楽に楽しんでいこうと思います。
600kmを走れる自分であることよりも、今はレースで勝負できる自分でありたい。
でも、200kmや300kmを走る楽しさまで手放す必要はありません。
速さを競う日もあれば、遠くの景色を楽しむ日もある。
どちらか一つに決める必要なんてないのです。

いつかレースの第一線から離れたとき、また600kmを走りたいと思うかもしれません。
そのときは、そのときの自分が楽しめることをすればいい。
目標は、人生を楽しくするためにあるもの。
目標に縛られて、楽しさを失ってしまっては意味がありません。
過去の自分が決めた目標にも、周囲の常識にも、効率という物差しにも縛られず、今の自分が本当にやりたいことを選んでいく。

しがらみのない世界へ。

それが、teamYOKO-OKAの自転車との向き合い方です。

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