ツールドひたちなか2026第2戦 1.5時間エンデューロ

0.1秒差のゴール

ひたちなかエンデューロ1.5時間。
Men40カテゴリーの結果は、0.1秒差の2位だった。
ほんの僅かな差。
ただ、今回のレースは単純な「惜しかった」で終わる内容ではなかった。
補給、位置取り、混走、チーム戦、ライン取り、シフトミス、攣った脚。
0.1秒という差の中に、ロードレースの要素がほとんど全部詰まっていた。
しかも今回は、ただ脚力で負けたレースではない。

「どこを見ていたか」
「何を優先したか」
「どこで判断したか」

そういったレースの構造そのものが、最後の結果に直結していた。
今回は、そのレースを少し細かく振り返ってみたい。

コース ― “休めないレイアウト”

今回のコースを一言で表現するなら、「休めないコース」だった。
単純な高速巡航ではない。
折り返しが非常に多く、減速からの立ち上がりが何度も発生する。
しかも、その立ち上がりが絶妙に嫌らしい。
完全停止ではない。
だからこそ、「なんとなく踏めてしまう」。
しかし実際には、

  • コーナー
  • 減速
  • 立ち上がり
  • 再加速

これを何十回も繰り返すことになる。
さらに途中には5%程度の短い登りもあり、そこでまた集団が縦に伸びる。
脚を休める時間が、本当に少なかった。

最終区間の構造

そして今回、一番重要だったのが最後のレイアウト。
大きな右カーブから一気に減速。
そのまま上りながらの右ターン。
さらに左カーブを曲がりながら位置取り。
そして、その先に約200mの下りスプリント。
つまり、「最後のコーナーをどう抜けるか」が、そのままゴールに直結するコースだった。
しかも、上りながらの右ターンの時点で、ほぼラインが決まってしまう。
あそこから無理に動くのはかなり危険だ。
単純なスプリント勝負というより、「最終区間にどう入るか」が重要だった。

レース前に考えていたこと

今回、特に警戒していた選手は以下の3人だった。

  • 内房レーシングクラブ 大石 孔明選手(本命)
  • 内房レーシングクラブ 加藤 高明選手
  • AIM racing team 後藤 大輔選手(準本命)

特に大石選手は、間違いなく最後の勝負に絡んでくると思っていた。
そして自分の中では、「加藤選手が何かしらのアクションを起こし、大石選手がそれに合わせる」というイメージを持っていた。
実際、読み自体は大きく外れてはいなかったと思う。
最終結果は、
1位 大石選手
2位 自分
3位 加藤選手
5位 後藤選手
だった。
つまり、見るべき選手はしっかり見えていた。
ただ、“誰が勝負を作るか”を見誤っていた。

今回の基本戦略

今回かなり意識していたのは、「無駄に踏まないこと」。
このコースは、折り返しのたびに全開で踏み続けていると、最後まで絶対に持たない。
そこで、

  • 立ち上がりは3回以上踏まない
  • ローテで前に出過ぎない
  • ただし後ろに下がり過ぎない
  • 逃げが出来そうなら飛び乗る
  • マーク選手の動きには必ず反応する

という形でレースを組み立てた。

前に居続ける難しさ

今回かなり意識していたのが、「後ろに下がり過ぎない」ということ。
このコースは、後方にいるほど立ち上がりが厳しくなる。
折り返しのたびに集団が伸びるため、後ろにいるほど加速量が増えるからだ。
そのため、基本的には前方5人前後を維持するよう意識していた。
ただ、今振り返ると、「良い位置に居続け過ぎていた」部分はあったかもしれない。
位置自体は間違っていない。
ただ、その位置に長く居過ぎた。
結果として、細かい消耗が積み重なっていた気がする。

実際のレース展開

実際に走り始めると、想像以上にきつかった。
折り返しのたびに強烈な加速。
しかも回復区間がほとんどない。
感覚としては、「ずっと高強度インターバルを繰り返している」そんなレースだった。

上り区間での処理

途中の5%程度の短い登りは、自分にとっては脚を使ってしまう、やや苦手な区間だった。
そこで、

  • 上り前に前方へ
  • 登りで少しずつ下がる
  • 10番手前後でクリア
  • その先の折り返しまでにまた位置を戻す

という走り方をしていた。
戻す時は、無理に踏み直すというより、「減速ポイントを遅らせて自然に上がる」そんなイメージ。
これは比較的うまく出来ていたと思う。
ただ今振り返ると、「戻し切り過ぎていた」部分もあった気がする。

本命は見えていた。でも…

レース中、大石選手はずっとマークしていた。
位置も確認していたし、動きにも反応していた。
ただ、今回のレースで本当に重要だったのは、大石選手本人ではなかった。
Men50カテゴリーの内房レーシングクラブ、阿南 大介選手。
この存在が、完全にダークホースになっていた。

実際に起きていたこと

レース終盤。
阿南選手が前で牽引し、その後ろに大石選手。
つまり、「阿南選手が列車を作り、大石選手を発射する」という構図が出来上がっていた。
自分は大石選手をマークし続けていた。
でも、「誰が勝負を作っているか」までは見切れていなかった。
ここが今回の大きなポイントだったと思う。

何度か割り込みも試した

もちろん、何もしていなかったわけではない。
阿南選手と大石選手の間に何度か割り込んだ。
ただ、内房の復旧が非常に早かった。
少しラインを崩しても、すぐ元の形へ戻っていく。
単純に脚力があるだけではなく、「役割」が明確だったのだと思う。
今振り返ると、自分は個人を見ていた。
でも相手は、“ライン”で戦っていた。

終盤、処理しきれなくなっていた

本来は、チームメンバーの近くで走ることも意識していた。
ただ、終盤になるにつれて飛び出しへの反応を優先するようになり、徐々に視野が狭くなっていった。

  • 大石選手
  • 加藤選手
  • 後藤選手
  • 飛び出し
  • 位置取り
  • 上り
  • 立ち上がり
  • 集団の流れ
  • 自分の脚の状態

高強度の中で、これらを同時に処理し続けるのは想像以上に難しい。
最後は脚だけではなく、頭の処理能力もかなり限界に近かったと思う。

残り30分、ふくらはぎが攣る

レース後半。
残り30分くらいから、ふくらはぎが攣り始めた。
このコースは立ち上がりが多く、しかも低速から高トルクになりやすい。
おそらく、

  • 高強度の連続
  • 立ち上がりの負荷
  • 神経系疲労
  • 補給不足

この辺りが全部重なっていたのだと思う。

補給について

今回の補給は、

  • アップ中:X-PLOSIONジェル(カフェイン150mg)
  • アップ中:おにぎり2つ
  • スタート前:ウィダー
  • スタート前:バナナ1本
  • スタート前:冴ジェル(カフェイン200mg)
  • 走行中:ACTIVIKEのスピードジェル1本
  • 走行中:ボトル1本(パラチノース)

という内容だった。
スタート前はかなり良かったと思う。
ただ、実際のレース強度を考えると、途中補給は少なかった。
結果的に、後半の脚の粘りには影響した気がする。

最後の1周

ラスト周回はかなり緊張感があった。
そして問題の最終区間。
大きな右カーブ。
そこから減速しながら上りの右ターン。
さらに左カーブを曲がりながら位置取り。
ここで、すでにラインがほぼ決まっていた。
この速度域で無理に割り込むのは、集団落車にも繋がりかねない。
だから、自分は無理をしなかった。
これは今振り返っても間違っていなかったと思う。

ただ、細かいミスが重なった

左コーナーの途中でシフトミス。
さらに、イン側に寄りすぎた。
しかも、そのイン側には葉っぱが大量に落ちていた。
結果として、

  • 前走者で詰まる
  • 路面グリップも悪い
  • 加速開始が遅れる

という状態になった。
今振り返ると、あそこはアウト側から被せるようなラインの方が良かった気がする。
少し距離は増える。
でも、「自分のタイミングで加速できる」というメリットはかなり大きかった。

最後のスプリント

事前に、「残り100mで踏み始める」というイメージは作っていた。
だから、残り100mで踏み始めた。
ただ、この時点で脚の状態はかなり厳しかった。
ふくらはぎが攣っていたため、ダンシングは使えない。
最後はシッティングのまま、ひたすら踏み続けた。
そしてゴール。
結果は0.1秒差の2位だった。

今回のレースで見えたこと

今回の敗因を並べると、

  • チーム戦への対応
  • 阿南選手の存在
  • 最終ライン
  • シフトミス
  • 路面状況
  • 攣り
  • 補給

色々ある。
ただ逆に言えば、「改善ポイントがかなり明確」ということでもある。

そして、まだ5月

例年、自分の調子が本格的に上がってくるのは6月以降。
5月でも走れないわけではないが、長い距離を乗り込み始めてから、ようやく身体がレース仕様になってくるタイプだ。
そんな中での今回の0.1秒差。
悔しさはもちろん大きい。
ただ同時に、「勝ち筋そのものは見えていた」そんな感覚も残ったレースだった。
次に同じ展開になった時は、今度こそ取り切りたい。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP