Zwiftアローズカップ参戦レポート

2025年締めのアローズカップ

Zwiftのアローズカップに参戦した。
今回は全員TTバイク縛りという、レースの在り方が大きく変わる特別ルールだった。
ZwiftのTTバイクはドラフティングがまったく効かないため、序盤から終盤までずっと「風除けゼロ」の純粋なパワー勝負になる。
普段の自分は外の実走で環境を読み、ライン取りや風向きを味方につけながら走るタイプだが、このレースではそうした得意分野が完全に封じられた。
だからこそ、今回の77kmは脚だけでなく、心の動きまでもが露骨にデータへ現れる。
その時間をどう走り切ったか――それをリリースされたばかりのChatGPT5.2を使用して形にしたいと思った。

コースは WatopiaのThe Classic。
序盤の3.7kmを使って脚をならして、そこから4.7kmを15周回。
数字だけ見れば淡々とした周回レースだが、実際には脚質も気持ちも大きく揺さぶられた。
とくにTTバイク縛りでは、楽できる瞬間が一秒たりとも存在しない。
だからこそ、一つひとつの周回が自分への挑戦のように感じられた。
ここからは、その時々の感情と、%FTPで算出した出力データを重ね合わせ、レース全体を振り返っていく。

■ 1周目:まだ戦えると思えた序盤(92%FTP)

レースが始まって間もない頃は、まだ自分の中に希望があった。
前に見える選手たちの背中を追いかけながら、「このペースなら、しばらくはついていけるんじゃないか」という淡い期待があった。
TTバイクの特性で集団の恩恵が一切ないにもかかわらず、最初の1周目は92%FTPという高い出力を維持できていたのが、その感覚を裏付けている。
心拍も168bpmで安定しており、まだ精神的にも余裕があった。
そのおかげなのか、7分台後半というこのレースで最速のラップを刻むことができた。
ここだけは、気持ちと脚の噛み合いが見事に一致していた区間だったと思う。

■ 2〜4周目:現実と向き合い始める時間帯(88〜82%FTP)

2周目以降、じわじわと脚よりも先に心が疲れ始めるのを感じた。
TTバイクは差がつくとそのまま地力差として露骨に表示される。
前との差が秒単位で開いていき、それが精神へなだれ込むような形で負担になる。
実際のデータでも、出力は88%FTPから86%、そして82%へと緩やかに下降していた。
まだ身体はそこまで落ちていないのに、心だけが先に疲れていく。
そんな不思議な時間帯だった。
自分が“追う側”になった瞬間に、レースの風景が少しずつ違って見えてくる。
ここがメンタルの転換点だったのは間違いない。

■ 5〜7周目:ブルベ体質が顔を出す“80%巡航”(85〜83%FTP)

4周目を終えたあたりから、身体が勝手に“長距離巡航モード”へ切り替わり始めた。
これはブルベを走り込んできた自分特有のクセでもあり、疲労が溜まった時ほど、身体は一定の巡航ペースに安定しようとする。
80〜85%FTPに落ち着くこのゾーンは、本来ならロングには最適な領域だが、レースでは明確な弱点にもなる。
なぜなら、“ここからさらに踏み直す力”が求められるからだ。
数字的にはまだ戦える出力だが、レース強度としては物足りない。
このあたりで自分の脚質を改めて痛感することになった。

■ 8〜11周目:心と身体が噛み合わなくなる苦境(81〜79%FTPだが心拍180後半)

8周目に入ると、身体的な疲れ以上に精神的な負担が表面化し始めた。
パワーは80%FTP前後を維持しているのに、心拍は183〜189bpmへ跳ね上がっていく。
データを見るだけでも、この区間がどれだけきつかったかが想像できる。
自分としても「踏めている感覚」が失われ、脚が回らないのに心臓だけが暴走するような状態だった。
正直、DNFを選ぶ理由としては十分すぎる状況だったと思う。
Zwiftという可視化された世界では、心の揺らぎがそのまま出力へ直結する。
この8〜11周目はまさにその象徴だった。

■ 11〜14周目:声が背中を押してくれた復活区間(82〜80%FTP)

そんな苦しい時間の中でも、観戦してくれていた友人からの応援や、終盤で主催者から飛んできた声が、不思議と身体の奥へすっと届いた。
その瞬間、明らかに気持ちが引き戻され、出力も再び上向き始めた。
82%FTPを中心に、80%前後まで踏み直せているのがその証拠だ。
TTバイクでは他人の力を借りることはできない。
だからこそ、この復活は“純粋に心が身体を動かした結果”だった。
応援によって背中を押される感覚は、画面越しでも確かに存在する。
レースにおいてメンタルがどれほど重要か、改めて感じた区間だった。

■ 15周目:最後に灯った小さな火(86%FTP)

最終周は、気持ちとしては「もう踏めないかもしれない」という気配があった。
しかし、データを見返すと、実際には86.8%FTPまで戻して踏めていたことがわかった。
心拍も167bpmと落ち着いており、全体を通して見れば十分に強度を維持してゴールできていたということだ。
途中で心が折れかけたことを考えれば、これは想像以上の“良い終わり方”だったと思う。
苦しい中でも最後にもう一度火が灯ったあの瞬間は、一つのレースを締めくくるにふさわしい、静かな達成感を残してくれた。

■ レース総括:TTバイクが見せた、本当の自分

TTバイク縛りのレースは、誤魔化しが一切効かない。
ドラフティングで楽をすることもできず、差が開けばそのまま個人TTのように淡々と距離を刻むしかない。
だからこそ、この77kmは自分の脚力とメンタルがどれほどのものかを、真正面から突きつけてくる時間だった。
精神的に折れた場所も、そこから復活した瞬間も、数字として残っている。
レースを走り切れたという事実以上に、心の揺れも含めて自分の走りを見つめ直せたことが、今回の最大の成果だと思う。
冬の練習として、これ以上ない一日になった。

■ 今後に向けて:課題をひとつずつ言葉にする

今回のレースを振り返ると、Zwiftで戦ううえで改善していくべき課題がいくつか浮き彫りになった。
まずは、スタート直後の5分間をしっかり踏み切る能力が必要だと痛感した。
The Classicのように最初から高い強度を求められるコースでは、この序盤の数分がその後の展開を左右する。
TTバイク縛りという逃げ場のない条件ではなおさらだ。

さらに、Zwift特有の“出力の上げ下げ”に耐える力も重要だと感じた。
ブルベで磨かれた定常的な巡航力は強みである一方で、レースではそこからもう一段踏み直す瞬間が必ずやってくる。
VO2max領域の短時間反復トレーニングを取り入れることで、この“踏み直す脚”は確実に強化できるはずだ。

そして、自分の身体がFTPの80%付近で安定しやすいという特性も、今回のデータで改めて浮かび上がった。
この“80%バリア”を越えるためには、80→90%へのスイッチを短時間で切り替える練習が必要になる。
これは技術というよりも身体の習慣を変える作業に近い。

最後に、長時間のレースで心拍が徐々に上がっていく“心拍ドリフト”への対策も必要だ。
今回のようにパワーと心拍の釣り合いが崩れる場面は、基礎的な有酸素能力を底上げし、持久系トレーニングの精度を高めていくことで改善していけると感じている。

こうした課題を丁寧に言語化していくことで、自分の走りを次のステップへつなげる道筋が見えてきた。
今回のレースは、苦しさと成長が同じだけ詰まった、とても意義のある一本だったと思う。

総括(Summary)

  • 順位:9位/10人
  • 記録:02:04:47.01

概要(Overview)

  • 大会名:アローズカップ
  • 開催日:2025年12月14日
  • バイク:CADEX Tri
  • 足回り:ZIPP 858/Super9
  • 装備:パールイズミ ベンチレーション パンツ 231MEGAⅡ

コース解析(Circuit Analysis)

  • 全長:約4.7km
  • 標高差:約49m
  • 走行方向:反時計回り
  • 上り区間:1.8km / 1.8%
  • スプリント区間:0.2km

パフォーマンスデータ(Performance Data)

指標数値 (平均)備考 (最大)
距離77.97 km15周回+α
時間2:10:40
速度35.8 km/h61.5 km/h
パワー80.3 %138.6 %
心拍数169 bpm209 bpm

周回ごとのラップ分析(Lap Breakdown)

周回Lap TimeSpeedNPHR
107:3538.7 km/h92.1 %168 bpm
207:4238.1 km/h88.6 %168 bpm
307:4837.6 km/h86.1 %167 bpm
407:5237.2 km/h82.5 %168 bpm
507:5237.2 km/h85.0 %164 bpm
607:5437.1 km/h82.9 %165 bpm
707:5437.1 km/h83.2 %164 bpm
807:5936.8 km/h81.1 %183 bpm
908:0336.5 km/h79.3 %188 bpm
1008:0736.1 km/h79.3 %188 bpm
1108:0236.5 km/h82.5 %189 bpm
1208:0336.4 km/h80.7 %164 bpm
1308:0536.3 km/h79.3 %162 bpm
1408:0436.3 km/h80.4 %163 bpm
1507:5337.2 km/h86.8 %167 bpm

出力分布・ゾーン解析(Power Distribution)

  • Z1 (回復走):3%
  • Z2 (耐久走):4%
  • Z3 (テンポ):17%
  • Z4 (ハード):44%
  • Z5 (VO2 Max):24%
  • Z6 (無酸素) : 4%
  • Z7 (神経筋パワー) : 1%

補給・身体マネジメント(Nutrition & Pacing)

  • 補給食内容:エナジードリンク(カフェイン200mg)×2、ジェル×2
  • 補給タイミング:適宜
  • 出走前の食事:ヤマザキ薄皮パン×2
  • 脚攣り対策:無し

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